引き続き、移民研究を行う早川さんをゲストにお迎えし、早川さん自身の経験について色々とお話いただきました。早川さんは高校生の交換留学で初めてフランスに来ましたが、その時はたまたまフランス行きになっただけで、留学から帰るときにはなんとフランスが嫌いになっていたそうです。ですがそれから何度か訪れるうちに考えが変わり、フランスがとても自由であることに惹かれ始めたそうです。その後、旦那さんが海外に転職することになり、子供3人を連れてフランスに移住し、日本での仕事と家族のバランスから海外でのキャリアへの転換に至るまでの背景についても話していただきました。
フランスに来てからは早川さん自身も仕事を始め、今はフランスとベルギーにまたがった2拠点生活をしていて、その日常生活の話も聞きました。また、フランスでの子育て環境の違いや教育制度についても色々と教えていただきました。例えば、フランスでは教育での経済的負担がかなり低くて受験もないので、基本的に誰でも進学が可能で一見すると理想的に見えますが、実は親の経済的な階層が子どもに非常に影響してしまう側面があるという指摘もありました。また、早川さん自身の経験として、海外に移住した子供が環境に適応するまでの経験や現地での学校教育、海外での日本語教育についても実感がこもった素晴らしいお話をたくさん伺いました。日本語と日本をホームと感じられる重要性や、子供たちの教育についての考え方、さらに深くは尊厳死などにも触れ、異なる国での貴重な経験をたくさんお話しいただきました。早川さん、素晴らしいお話をありがとうございました。
ゲスト:
フランス/ベルギー2拠点 在住12年目 移民研究者 早川 美也子
社会人類学者。専門は移民、在外邦人、ジェンダー、トランスナショナルな家族関係。エスノグラフィーの手法を用いて研究を行っています。
ブリュッセル自由大学(ULB)ポストドクトラル・フェロー(EU Horizon Project AspirE)。2013年に渡仏。3児の子育てママ→フランス社会科学高等研究院(EHESS)入学→博士号取得→トゥールーズ大学勤務を経て現職。フランス・ベルギー・日本を行き来する生活です。
https://aspire.ulb.be/team/research-team/miyako-hayakawa
ゲストQ&A
移住全般について
- 移住先はどこですか?
- フランス(地方)、ベルギー・ブリュッセル
- その場所を選んだ理由はなんですか?
- 夫の仕事(フランス)、自分の仕事(ブリュッセル)
- いつから移住先に住んでいますか?
- 2013年10月頃
- いままでの海外遍歴を教えてください
- 長期滞在歴:フランスの高校に1年間交換留学、大学院時に1年間フランスに留学、イギリスで駐妻(2年)、2013年からフランス在住、2023年からベルギー・ブリュッセルとフランスでの二重生活。
- 移住前の英語・現地語のレベルはどうでしたか?どうやって勉強しましたか?
- フランスへは留学経験があったので、日常生活レベルでは困りませんでした。ただ、家族で暮らすためのフランス語力と(各種手続き等)、アカデミックフランス語の能力は不足していました。
- なぜ海外に移住したかったんですか?
- 家族の時間を増やし、自分のキャリアも考えるため
- どうやって移住を実現しましたか?
- 夫がフランスに転職しました
- 海外移住してよかったことはなんですか?
- 家族の時間が増えたことと、自然が豊かなところに住めたところ。自分のキャリアも考えられるようになったこと。日本社会の各種プレッシャーから解放されたこと。
- 海外移住して大変なことはなんですか?
- 言語と生活習慣の治安レベルの違いに慣れること。日本の家族・友人と離れていること。
仕事について
- いまの職業は何ですか?
- 研究員
- 職業の種類を教えて下さい
- 現地就職(現地企業)
- どうやってその仕事を見つけましたか?
- 公募が出ていたので応募しました
- 海外で働いてみてよかったことはなんですか?
- スキルが上がった(気がする)。職種にもよると思うが、裁量が大きく、自分の時間を自由に管理できる。
- 海外で働いてみて大変なことはなんですか?
- 常に外国語生活なので疲れる。
子育てについて
- 海外で出産しましたか?
- はい
- 子供の人数と年齢を教えてください
- 11, 13, 18
- 海外での子育てについて、どのように感じていますか?
- 概して快適(子どもに対する周りの視線が優しい)。ただ、日本語力の保持が難しい。